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一昨日、無事福岡ヌーソロジー研究会が終わりましたー !!

私のお話と質疑応答が2時間、もう一人のEさんの「対称性」についてのお話が2時間の合計4時間の研究会でした。

今日は、研究会に出席できなかった方のために、研究会でお配りしたレジュメをアップします。

研究会では、「イデアサイコロジーの基本構造」と題して、今までブログで書いてきたイデアサイコロジーの基本的な全体像をお話しました。

ブログのダイジェスト版のような内容なので、ブログを読んで頂いている方は知っている内容がほとんどだと思いますが、復習のための資料にはなるかと思います。

ただ、一つだけ、ブログで出していない内容も今回書かせていただきました。エニアグラムタイプと精神病理の対応です。

大うつ病とタイプ2、統合失調症とタイプ1&9の対応のことは既に書いていますが、他のタイプのことはまだでした。今回は、対応のみで細かい説明はしていないので、他のタイプについては今後お話していきたいと思っています。

ではでは、ご興味がある方はぜひ見てみてくださいね(^^)。


目次:Ⅰ.ヌーソロジーとイデアサイコロジー
   (1)ヌーソロジーとイデアサイコロジーの研究対象
   (2)顕在化と潜在化
   Ⅱ.人間の性格を形成する4つの要素
   (1)遺伝と占星術的影響
   (2)エニアグラムタイプ
   (3)その他の出生後の経験
   Ⅲ.潜在化のΨと人間の意識発達
   (1)元止揚(Ψ1〜8):胎児期
   (2)Ψ10:乳幼児期
   (3)Ψ9:児童期
   (4)Ψ12前半:思春期
   (5)Ψ12後半:青年期
   (6)Ψ11前半:壮年期
   (7)Ψ11後半:老年期
   (8)Ψ14:肉体の死
   Ⅳ.他者化の3種類と精神病理 
   (1)他者化とは何か
   (2)精神病理とエニアグラム
   Ⅴ.2種類の幅と「3つのメガネ」
   (1)幅は2種類ある
   (2)人間は「3つのメガネ」をしている
   (3)ラカンの現実界と自我の欲望の正体



Ⅰ.ヌーソロジーとイデアサイコロジー


(1)ヌーソロジーとイデアサイコロジー


ヌーソロジー:主に物理学・哲学を通して、イデア(観察子構造)から作られる空間構造を明らかにする。

イデアサイコロジー:主に心理学・精神分析・精神医学を通して、イデアが人間の意識発達や性格等にどのように表れるのかということを明らかにする。

 

(2)顕在化と潜在化


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ヌーソロジーの観察子→Ψ・Ω・Φの3つのレベルから構成。

Ψ=顕在化(変換人のレベル)と潜在化(人間のレベル)に分かれる。
 

ヌーソロジーで主に空間構造の説明に使われているのは、顕在化のΨ。
 

イデアサイコロジーで主に扱うのは、潜在化のΨ=人間のレベル

 

Ⅱ. 人間の性格を形成する4つの要素


(1)遺伝と占星術的影響

遺伝:胎児期=元止揚(Ψ1〜8)←身体=Φ全体

占星術的影響:元止揚(Ψ1〜8)←惑星の影響=Ω全体

 

(2)エニアグラムタイプ
 
Ψ10(乳幼児期)がΨ1〜8をなぞる過程で形成されるもの。

<エニアグラムとは>
エニア=9、グラム=図で「9つの図」という意味。
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エニアグラムを初めて世に出したのは、ロシアの神秘思想家グルジェフ(1910年前後)。グルジェフは、エニアグラムの図を人間の意識発達のシステムとして見た。

 

図のみ←古代バビロン(紀元前2500年)、古代ギリシャ、グノーシス、カバラ。スーフィズム(9〜10世紀のイスラム神秘主義)という説も。

 

エニアグラムを性格のタイプとして世に出したのは、ボリビア人神秘思想家オスカー・イチャ―ソ(1950年代)←新プラトン学派プロティヌス「エニアッド」、カバラ、グノーシス。チャネリング説もあり。

(3)  その他の出生後の経験(Ψ10、Ψ9、Ψ12前半後半、Ψ11前半後半)
 

エニアグラム以外の出生後の経験:親子関係・友人関係・学業・恋愛・仕事・結婚


Ⅲ.潜在化のΨと人間の意識発達


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(1)元止揚(Ψ1〜8):胎児期

(2)  Ψ10(元止揚Ψ1〜8):乳幼児期:Ψ10(出生時〜6歳ころ)がΨ1〜8をなぞる

<0〜1歳半:口唇期(Ψ3〜4):タイプ4・5・9>

全てと一体化していた状態(Ψ1〜8)から「自分と自分じゃないもの」の世界に分かれる。「飲み込みたい欲求」と「飲み込まれる恐怖」

「飲み込みたい欲求」が満たされない:タイプ5(Ψ3)

「飲み込まれる恐怖」:タイプ4(Ψ*3)
「自分じゃないものとの一体化」:タイプ9(Ψ4)

<1歳半〜3歳:肛門期(Ψ5〜6):タイプ3・7・8>
  
幼児の意識は身体に同一化する。父母のことも身体と認識する。「世界の中心でいたい(注目されたい)欲求」と「世界の中心でない恐怖」

「世界の中心でいたい欲求」が満たされない:タイプ8(Ψ5)
「世界の中心ではない恐怖・孤独」:タイプ7(Ψ*5)
「世界の中心である自分」:タイプ3(Ψ6)

<4〜6歳:男根期(Ψ7〜8):タイプ1・2・6>

幼児は言葉による概念・心に同一化する。善悪の概念の発達。超自我。

「良い子であると認められたい欲求」が満たされない:タイプ2(Ψ7)

「良い子でない恐怖」:タイプ1(Ψ*7)
「良い子であると認められた自分」:タイプ6(Ψ8)

(3) Ψ9:児童期(潜在期):社会的規律・対人コミュニケーション能力

(4)  Ψ12前半:思春期(性器期):アイデンティティの確立:(エニアグラムの欲求・不安の芽生え)

*マーシャの自我同一性地位:「同一性拡散」「早期完了」「モラトリアム」「自我同一性達成」

自我同一性達成には「危機」と「傾倒」の2つの条件が必要
 

危機:それまで無意識に受けていた親の価値観の影響に気づき、それを持ち続けるのかという迷いが生じること。

傾倒:特定の価値観・世界観・考え方を自分で選択、採用し、それに基づいて目標を設定して生きること。
 
(5)  Ψ12後半:青年期:恋愛・結婚・就職、社会的個の自覚・他者から求められるイメージに合わせる

(6)  Ψ11前半:壮年期:子育て・部下の指導、超自我との同一化・超自我として認識される

(7)  Ψ11後半:老年期:自我の統合(社会的規範・アイデンティティ・社会的個を超自我との同一化によって得た理性で統合する)

(8)  Ψ14:肉体の死


Ⅳ.他者化の3種類と精神病理


(1)他者化とは何か
 
Ψ12前半(思春期)でエニアグラムタイプを基にしたアイデンティティが確立できず、Ψ9で作られた親の価値観・家庭環境・学校生活で作られた自己イメージに同一化してしまう。

*マーシャの自我同一性地位「早期完了」:危機を経験せず、親の価値観に同一化して生きる状態。

*社会学の「システム理論」における2つの自己肯定感

<自由な試行錯誤によって養われた自己肯定感>

いろいろと自分で自由にやってみて、そこで失敗したり成功したりしながら徐々に培われていくもの。それによって更に高い目標にチャレンジできるようになる。

 

<崇高なものと一体化することによる自己肯定感>

「国」や思想など、自分が「崇高」だと思えるものと自分が一体化することによって得られるもの。⇒他者化

*1つ目の「自由な試行錯誤による自己肯定感」があれば、「崇高なものとの一体化による自己肯定感」は必要がなくなるが、前者がないと後者に頼らざるを得なくなり、全体主義が生まれる。

 

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ヌーソロジーでは……
 

他者化とは、Ψ9が強すぎてΨ12前半に行くことができず、Ψ6に意識の位置が回収されてしまうということ。
 

*自我が最初に3次元空間に触れるのは、Ψ10がΨ5〜6をなぞる肛門期。

*肛門期に入る条件として、他者から見られた自己の身体イメージ=Ψ6がまず作られる。ここが自我の枠組みの基盤となるところ。

*次の男根期に入ると、Ψ10は客観や概念を作るΨ7〜8に関与し、今度はそこからΨ9の思形へと進む。このΨ9に当たるのがフロイトのいう潜在期=児童期。社会的規範の学習などの、父性への同一化が起こるところ。

*上図からも分かるように、このΨ9はΨ6の上から被さるようにして抑圧をかける。

*Ψ9におけるこの抑圧が強すぎると、外面方向のΨ12前半に意識が成長していけず、意識はそのままΨ6の位置に停滞してしまう。

*そしてそのとき、Ψ6は、Ψ9の親の価値観や家庭環境、学校生活で作られたイメージに同一化を余儀なくされる。外面=主観的意識とは関係ない、外の情報を自分と思い込む。=「我—それ」の世界・内面

つまり、ヌーソロジーの構造論的には、他者化とはΨ6がΨ9に同一化している状態であると言える。

 

<内面3兄弟:親=科学=社会的権威>
 

Ψ6としてΨ9に同一化していると、その上の2つ、Ψ11前半(理性)、Ψ12後半(社会的意識)から影響を受けやすい

→科学や社会的権威(国・政府・天皇等)・社会的に共有された思想(政治的思想やスピリチュアル系(ヌーソロジーも含む))に同一化しやすい。⇒崇高なものとの一体化による自己肯定感
 
(2)  精神病理とエニアグラム
 

精神病理:Ψ12前半において生じる意識の退行の方向
 

各エニアグラムタイプの欲求・不安に支配され、コントロールされてしまうと現実生活に支障をきたし、徐々に精神病理を発症するようになる。
 

*精神病理には様々な種類があるが、それぞれのエニアグラムタイプに特有なものがある。
   →エニアグラムタイプは自我の構造そのものに関係している
   ⇔身体の病気 (身体の構造と対応)

<精神病理とエニアグラムタイプ>
 

タイプ1:統合失調症(妄想型・陽性症状)・強迫性障害

タイプ2:大うつ病(循環気質・メランコリー親和型)

タイプ3:自己愛性人格障害

タイプ4:境界性人格障害・双極性障害

タイプ5:社交(社会)不安障害

タイプ6:対人恐怖症

タイプ7:演技性人格障害

タイプ8:反社会性人格障害

タイプ9:統合失調症(破瓜型・陰性症状)


 

2種類の幅と「3つのメガネ」 


(1)幅は2種類ある

ヌーソロジーの目的:「奥行きから幅を取り除くこと」→変換人の意識

 

<今までヌーソロジーで扱ってきた幅=3次元空間=自我の空間認識>
 

*自我とは、他者=親との相互作用の中で形成されるもの。

*その中でも、初めて赤ちゃんが3次元空間に投げ出されるきっかけが、ラカンの鏡像段階(6ヶ月〜1歳半の子供が、鏡に映った自分の像に同一化して自己の身体的統一感を感じ、そこに自我の拠点を作るという説)。

*口唇期:「自分と自分以外」というあいまいな2元論の世界、奥行き=自分。
 

*鏡像段階を経て肛門期になると、赤ちゃんは、親から見た自分の身体というイメージに自己同一化。親の眼差しに映る自分に同一化し、はじめて3次元世界の住人に。

*3次元空間:ヌーソロジー的に言えば、まさしく鏡像の世界、つまり他者の視線によって作られる「幅」の世界。自我は、他者によって作られた思い込み。
 

*この大もとの、自我の枠組み=「幅」=3次元空間認識を取り除こうとするのが、ヌーソロジー。

 

<自我の枠組みとしての幅と内容物としての幅>
 

*自我は、この「自我の枠組み」単独で形成されるものではない。
 

*枠組みが形成されると同時に、自我には、他者(親)との相互作用で形成された自己・他者イメージが組み込まれる。これも自我の構造に直接関わる、他者によって作られたイメージなので、幅の1種。「自我の内容物」としての幅。

*内容物としての幅のうち、乳幼児期(Ψ10)で形成されるのが、エニアグラムタイプ。児童期(Ψ9)では、親のしつけや価値観、学校での経験で、様々な自己他者イメージが形成される。

(2)人間は「3つのメガネ」をしている

変換人になるため、「奥行きから幅を取り除く」ためには、以上の3つの幅(自我の内容物(Ψ9&10)、自我の枠組み)を順に取り除いて行かなければならない。

<人間は、3つの幅=メガネを重ねてかけている>


一番外側:「自我の内容物としての幅(Ψ9)」:赤色メガネ(親の価値観等)

二番目:「自我の内容物としての幅(Ψ10)」:黄色メガネ(エニアグラム)

一番内側:「自我の枠組みとしての幅」:青色メガネ(ヌーソロジー)


*Ψ9のメガネをかけている状態では、3つのメガネが重なっているので、世界は真っ黒に見える。自己の本質で生きられていない状態。他者化、内面、「我=それ」の世界。

*Ψ9で形成された親の価値観や家庭環境、学校生活で作られた自己他者イメージを意識化して自分とは別物と認識して、コントロール可能とすることで、赤色メガネを外すことができる。
 

*赤色メガネを外すと、次はエニアグラムの黄色メガネとヌーソロジーの青色メガネが重なった緑の世界となる。ここで、エニアグラムタイプを意識化し、コントロール可能とすることで、黄色メガネを外すことができる。

*黄色メガネを外し、青色メガネの世界になったところで、ヌーソロジーを学習することで、透明な純粋持続の世界、変換人の世界に到達することができる。

(3)ラカンの現実界と自我の欲望の正体

現実界:純粋持続・奥行き・ワンネスなど……→Ψ1〜8(元止揚)・Ω・Φ

Ψ1〜8:出生以前の全てと一体化した世界

*本来、人間は現実界を追い求めるものであるが、身体として生まれ、口唇期になると世界は二分化されてしまい、現実界を認識することができなくなってしまう。

*ラカンは、口唇期以降、現実界を認識できなくなった人間が、現実界の痕跡として認識するもののことを、対象a(乳房・糞便・声・眼差し)と呼ぶ。

*口唇期の対象a:「自分じゃないもの」との一体化
 肛門期の対象a:世界の中心であること           
 男根期の対象a:良い子であること

*思春期以降、乳幼児期で認識した対象aが自我の欲望となって現れる。

人間は、現実界だと誤認して懸命に自我の欲望を追求するが、それによって逆に現実界から遠ざけられるという皮肉なシステムの中で生きている。